Violet Detective

事件の始まり

真昼の東京。道には多くの人が行き交い、賑やかだ。

渋谷のスクランブル交差点。多くの人が信号が青に変わるのを待っている。そんな中、異様な人物がいた。

背が高く筋肉質な男。派手なシャツを着て、サングラスをかけている。多くの者が裏の世界の人間だと思うだろう。

その男を見た人々は、ギョッとした顔を見せた。その男が普通のサラリーマンなどだとしたら、声をかける者がいたかもしれない。

男の顔は、黄色く染まっていた。ペンキなどをおふざけで顔に塗ったわけではないと人々はすぐに気づく。それは、男がどこか具合が悪そうにしていたからだ。

しかし、誰も声をかけようとはしない。信号が青に変わり、何もなかったかのように人々は歩き出す。

誰も、自ら想像したことがないだろう。もしも目の前で人が倒れたら、もしも突然人が苦しみ始めたら、もしも命が終わる瞬間を見ることになったらーーー。

歩き出した人々と同じように、男も歩いて行こうとする。しかし、その足はもつれ、男は交差点に倒れた。