溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
8.プレゼントは不意打ちで

軽井沢に出かけてから一ケ月が経った、八月上旬。

「ごめん。ちょっとリビングで休ませて」

夕食の準備に取りかかろうとしたとき、広海さんが弱々しくそう言った。

彼は今も仕事終わりにマンションに立ち寄り、私たちと一緒に夕食を取ってから家に帰っている。

「熱があるみたいね」

具合が悪そうな彼の額に手をあてると、熱さが伝わってきた。

「やっぱり?」

「やっぱりって、自覚あったんだ?」

「……まあね」

一緒に業務をこなしていたのに、彼の調子が悪いことに気づけず、申し訳ない気持ちが胸いっぱいに広がった。

言葉少ない彼を支えるようにリビングに移動すると、ソファに体を横たえるのを手伝う。しかし私より体格がいい彼を介抱するのは思っていた以上に大変で、体のバランスが崩れてしまった。

「キャッ!」

足に力を入れて踏ん張ってみても重力には逆らえず、ソファに横になった彼の上に倒れ込んでしまう。

「ご、ごめんね」

まるで私が押し倒してしまったような体勢が恥ずかしい。

慌てて体を起こそうとすると、目の前に大きな手がスッと差し出された。

「大丈夫か?」

「えっ? あ、はい。大丈夫です」

顔を上げると、手を差し伸べてくれている専務の姿が見えた。彼の手を借りてソファから起き上がる。

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