そう言えば、朝からたまに咳をしている。
彼らの後ろ姿を見送り、フーッと息を吐いて緊張を解いた。
今までどうやって蒼士と接していたのだろう。
こんな状態ではまともに仕事なんて出来ないわ。
「どうして蒼士が近くにいると鼓動が早くなりますの?」
「それは、スバリ恋ね」
不意に上から降って来た声に驚いて顔を上げれば、赤石さんがどこか楽しげに微笑んだ。
いつの間にここに来たのだろう?
さっき蒼士が言ってたイーグル社のことで来たのだろうけど。
どうやら私はまた脳内で呟いたつもりで、声に出してしまったらしい。
「……赤石さん。恋なんかじゃありませ……!?」
平静を装って反論しようとしたら、前の席にいる剣持さんが面白そうに私をからかった。
「いや、もう恋だろ。恋する乙女の顔だよな」
「ちょっと……待ってください。蒼……じゃなくて、副社長と私ですわよ?絶対に違います!」
彼とは高校から一緒だったのだ。
今更恋に落ちる……なんてことはないはず。
あたふたしながら千切れそうな程ブンブン首を横に振れば、今度は横にいる藤原が私を見てクスッと笑った。