生簀の恋は青い空を知っているか。
二人暮しと一人暮らし。



浅黄さんの家に帰る毎日が続いているわけだけれど、思うより大変ではなかった。

というのも、浅黄さんは本当に家に帰ってこないからだ。たまに朝、リビングでPCを触っているのを見る。

「おはようございます」
「ん」
「……コーヒーとか、飲みます?」
「や、いらね」

会話終了。

浅黄さんの家は確かに広くて、息を吸うには快適だったけれど、何故か洗濯機がなかった。

洗い物が溜まったので洗濯しようと家中探したけれど、なかった。まさかね、と思いながらベランダまで見たけれど、なかった。

「あの、洗濯っていつもどうしてるんですか?」

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