しかし秀人は仲本桜子に無表情に一瞥するだけで、私を引っ張って歩き出した。そして秀人の足は、宇田支店長の前で止まる。
落ち着いた態度の彼に、秀人もまた冷静な表情で向かい合っている。

先に口火を切ったのは、秀人だった。


「俺は当時まだガキだったから、あの日コイツが、あんな闇を抱えて帰ってきたなんて知る由も無かった。けど、この会社を知った今なら分かる」

秀人は私の腕を掴んだまま宇田支店長をじっと見据え、はっきりとした口調で話を続ける。
「コイツの七年前の件については、後ほどキッチリと決着をつけるとして…」
と、一度フッと息を整える。

「宇田支店長、今回の新築プロジェクトの件ですが、メンバーから外れてもらうことになりました」