ロマンスの王子様
5・嫌いだと言った覚えはない
その夜。

「ただいまー」

家に帰ったけど、奥原さんはいなかった。

「まあ、遅くなるって言ってたしな」

とっととお風呂に入ってコラボカフェで買ってきた戦利品の整理をしようっと。

そう思いながら、私はバスルームへと足を向かわせた。

お風呂を済ませると、
「ただいま」

奥原さんが帰ってきた。

意外と早く帰ってきたな。

壁にかけてある時計に視線を向けると、9時を過ぎたところだった。

「お帰りなさい」

リビングに入ってきた奥原さんに声をかけると、私はキッチンへと向かった。

「お風呂わいてますから」

冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しながら、私は言った。

「なあ、少しだけいいか?」

奥原さんがそう言ってきたので、
「何がですか?」

私は聞き返した。
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