暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。

煌輝くんの言いたいこと。

ずっと沈黙が続く、帰り道。
いつもは何か話してくれる煌輝くんは、ずっと無口のまま、不機嫌そう。

「あの、煌輝くん？なんでさっきからずっと無口なんですか？」
「………菜乃」
「え？」
「菜乃のせいだよ」
「私のせいですか？」

私、何かしましたっけ？
全然思い当たる節がないけど、何か気に触ることをしてしまったなら、謝ったほうがいいですよね。

「はぁ…菜乃。よく聞いて。俺が好きなのは先生じゃなくて菜ーー」
「よう！総長！」

バイクのうるさい音にかき消されて、肝心なところが聞けなかった。

「って、なんで総長はこっちを睨んでるの！」
「「……」」

今日もご機嫌ですね、迅くん。
その元気は少し羨ましいです。

バイクに乗って元気に犬みたいに吠えてる迅くん。
煌輝くんのこと好きなんだろうなぁ。