恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
「はい。並木は私ですが・・・え、ええ?」
私が変な声を出したもんだから、
「どうした?」
ボスも寄ってきた。

「あの・・・」
電話は不動産やから。
内容は・・・
「火事でうちが燃えているそうです」
なんだか現実味がなくて、ポカンとしてしまった。

「何してる、行くぞ」
こんな時、行動が早いのはボスだった。

「車をとばせば、40分くらいだろ」
「まあ」
たぶんそのくらいだと思う。

「行くぞ」
いつの間にかキーを手にしている。
いや、でも、まだ勤務中だし。

「何してる。早くしろ」
「でも、残った仕事が・・・」
いくら何でも仕事を投げ出して駆け出すわけにはいかないでしょう。
「うるさい。できないって言えば次からは頼まれない。願ったり叶ったりだ」
そんな・・・人ごとだと思って。
へたしたら、仕事を失います。

「何してる。急げ」
結局、無理やり連れ出された。
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