サヨナラのために


「今も、好きですか」


見えない先輩の表情が、少しだけ見えた気がして。


「…うん、すごく、どうしようもなく」


胸が、グッと押された。


人は、生き続ける。


愛する人が離れても、もう二度と、そばにいることができないとわかっても、それでも生きることができてしまう。


この人は、それを知ってる。


「一番にできないって、美羽ちゃん言ったよね」


先輩は、優しく、笑う。


「一番じゃなくてもいいんだよ。言葉を交わして、触れて、時間を積み重ねていくうちに、愛は生まれるよ」


私もいつか、知ることになるかもしれない。


「たとえ、一番じゃなかったとしてもね」

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