溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
17話「繋がり」





   17話「繋がり」




 公園の前に車が停まった。
 花霞がよく知っている黒い車だったけれど、花霞はそれに気づくことはなかった。
 見つけた結婚指輪を握りしめたまま、ホッとしながらも気づいた自分の気持ちに、ドキッと胸を高鳴らせていた。


 「花霞ちゃんっ!!」


 会いたいと思っていた人の声が聞こえた。
 花霞はハッと顔を上げて、声の主を見つめた。ビニール傘を持ち、こちらに向かって駆けてきている。街頭に照らされた彼の顔は、必死そのものだった。


 「椋さん………。」
 「大丈夫?何があったんだ?」
 「ご、ごめんなさい。心配を掛けてしまって。」


 自分が濡れるのも構わずに、椋は自分が持っている傘を花霞の方に傾けた。彼の髪や肩がドンドン濡れてしまう。


 「………あ、椋さんが濡れちゃうから………。」
 「俺の事はいいから。何があった?」
 「あ、あの………結婚指輪を探していて……。」
 「結婚指輪………?」


 椋は心配からかいつもより、口調が荒かった。花霞は、少しビクビクしながら、握りしめていた指輪を差し出した。
 本当は、指輪の事を話すつもりはなかった。けれど、言い訳を見つけられる事もなく、咄嗟に本当の事を言ってしまったのだ。彼には、嘘はつけない。嘘はつきたくない。そんな風に思ったのだ。



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