というわけで、『青弓亭』に戻ってきたエリナは、まずはかつおぶしを削って出汁を取るところから始めた。

 ミメットは、最初は「この木片はなにに使うの?」と不思議そうな顔をしていたが、そこはさすがに猫である。渡されたかつおぶしの匂いを嗅ぐと「こっ、これは⁉︎」と瞳をキラリと輝かせた。
 そして、そんなミメットにナイフを持たせたら、かつおぶしを素晴らしい速さで削ってみせたので、削り機は無用だった。

「すみません、ちょっとこの出汁を飲んでみてくれますか?」

 かつおぶしで取った出汁にほんの少しだけ塩を入れると、エリナはミメットに味見をさせた。

「ふわあっ、なにこの優しい旨みは?」

 ミメットは、尻尾をふわっとさせて言った。

「良かった、この味をわかってもらえて。今回は豚汁を作るから、お出汁はかつおぶしだけを使うんですけど、ここに昆布を加えるとさらに旨味が増して、美味しいおつゆになるんですよ」

「へええ、異国風の料理だけど、これは間違いなく美味しいものができそうだね」

 安心したエリナは、まずは少しの材料で豚汁を4人前だけ作った。