「カレー、だって?」

 呟くギギリクのところへ、下ごしらえがひと段落したエリナとミメットが、鼻をふんふんさせながらやってきた。

「変わった香りのスパイスだね。初めての匂いだけど、なんだかおなかが空いてくる不思議な匂いだよ」

 ミメットはカレーの存在を知らないのだが、この独特の香りが気に入ったらしい。

「わあ、これはまさにカレー粉です! ギギリクさん、旅に出てカレー粉を買ってきたんですね、これでカレーライスが作れますよ!」

 日本人のソウルフードと言えるカレーライスが食べられるとあって、エリナは喜びに耳をぴこぴこさせて言った。

「スカイヴェン国のお肉は美味しいから、豚の塊肉をゴロゴロ入れたカレーがいいなあ。もちろん、にんじんと玉ねぎとじゃがいももたくさん入れて! あ、福神漬けが欲しいなあ、なにか似たような漬け物を作りたいな……」

 頭の中がカレーライスになってしまって、ひとりで喜んでいるエリナに、ギギリクは尋ねた。

「カレーコ? カレーライス? エリナはこの香辛料を知ってるのかい? これ、かなり遠い国から持ってきたんだよ。カレーコって名前だったんだね」

「かなり遠い国から……」

(日本から? ううん、そんなことがあるはずないよね。この世界にもカレー料理を作る国があるってことだ。醤油や味噌も作られているんだから、不思議はないよね。ごはんもあるし! そっかー、今夜はカレーか! うふふ、久しぶりのカレー、楽しみだなあ……)

 3人はエリナの百面相を見守り(この子、大丈夫かな?)と顔を見合わせた。