キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「納得してくれた?
だから、愛里ちゃんには教師として
優しさと厳しさが必要なの。
唯ちゃんのライバルじゃなくて、幼稚園の園児だからね。
甘えさせてあげれる時は、目一杯甘やかすけど。
一つお姉ちゃんになって、チビ達も入ってきたから………
そういう対応もしないとね。
今日お母さんとも、そう言って話したんだ。
もちろん、ちゃんと理解してくれたよ。
唯ちゃんだけ甘やかしても大丈夫だって!」

そういうとチュッとリップ音をさせて、キスをしたの。

やっぱり唯は子供だったんだ………。

4歳の愛里ちゃんをライバルだと思って

先生としての対応に気づいてもいなかった。

自分と同じだと勝手に想像して………

淋しそうで可哀想!!ってばかり考えてた…………。

一人、落ち込んでいたら。

「唯ちゃんはそれでいいんだよ。
お母さんも『良い人を選ばれましたね。』って言ってたよ。
愛里の気持ちになって、真剣に悩んでくれてるって。
愛里ちゃんの担任が、唯ちゃんだったから
愛里ちゃんはのびのび育ったって。
自分が好きなことも受け止めてもらえて、幸せだって。
俺もそう思うよ。
ちょっと幼いけど、そんな唯ちゃんだから好きになったんだ。
たぶん、幼稚園の先生達や子供達。
俺の家族や友達。
唯ちゃんと出逢った人はみんなそういうと思うよ。」

先生はいつだって甘い。

ダメなところだって、長所だと言ってくれる。

だったら先生を信じて、このままでいいのかな?
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