宇宙で一番☆幸せな政略結婚
6章
 
 しばらくして。

 ゆっくりお風呂に入った、あると。


 家族そろって食事する事なんて、今までなかった事を体験して、喜びを感じた。

 しかしその後、聖竜に出かけようと誘われて。

 嬉しいのに、何故か素直になれない自分と、ダメだと止めてしまう自分がいて。

 結局、聖竜を怒らせてしまったようだ。



 湯船につかりながら、あるとはため息をついた。

「このままずっと、こんな生活を送り続けるのかな? 」


 結婚して二ヶ月目。

 聖竜とはほとんどすれ違いの生活だった。

 今日はたまたま早かったのか、まさか悪口を言っているお手伝いに本気で怒ってくれるなんて想像もできなかった。

 そして一緒にご飯を作るなんて、夢にも思っていなかった。


 お金で買われてきたから・・・そう思っている自分が消えない限り、心から喜べる日は来ないかもしれない。

 あるとはそう思った。

「お母さんが生きていたら、私の人生はもっと違っていたかもしれないね」


 ふとため息をついて、天井を見あげる、あると。


 あるとの実の母は、あるとが10歳の時に病気で亡くなった。

 元々体の弱い母親で、寝込むことが多かった。

 母が生きているときは、一緒にご飯を食べて買い物にも行っていた。

 病気で臥せったときは、あるとが一生懸命作った卵焼きを嬉しそうに食べてくれていた。

 
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