極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~

「うーん……」

 ウソの病気で休職して、しれっと復職。それって、いくら社長の身内でもずるくないか?

「すぐに戻れるならともかく、あまり時間がかかると難しいよ。羅良は見つかりそうなの?」

 父は探偵事務所に羅良の捜索を依頼している。

 しかし、三日経った今でも、何の音沙汰もない。

「いや……こんなに探してもいないってことは、もしかしたら……」

 警察が本気になれば、公共交通機関でも高速道路でも、あっさり誰がいつどこで何を使ったか判明するはずだ。

 しかし、本人の意志に寄る失踪では、警察は動いてくれない。探偵では調査できる範囲が限られているのかもしれない。

「そんなに結婚が嫌だったのかなあ」

 青くなる父がうつむく。ちなみに母は、結婚式を何とか乗り越えたものの、部屋で塞ぎこんでいた。

「……それは羅良にしかわからないけど。きっと、そのうち帰ってくるよ。私がそれまで頑張るから、お父さんも頑張って」

「ああ。ありがとう、希樹。お前は強いなあ」

 父は力なく笑った。私も内心の不安を見せないよう、笑い返した。

 羅良、どうか無事でいて……。
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