言葉にならない愛を、君に

勇也side



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葵はきっと無理していた。

玄関をあけたとき、葵が桜の木をじっと眺めているのをみて、しばらく声をかけられなかった。



あれは中学2年生のとき。

葵は俺のお兄ちゃんが好きだった。

お兄ちゃんは俺の1つ上。

葵と航平は一人っ子だったから、2人とも自分のお兄ちゃんのように慕っていた。

小さいころは4人で遊ぶことも多かった。


そんな葵の恋心に気づいたのは中学1年生の夏。

俺としては失恋した気分だった。

物心ついたときからいつも一緒にいた葵を好きになるのに時間はかからなくて、それは航平も同じだった。

でも、葵が好きになったのは俺のお兄ちゃん。

それは仕方がないことだと自分に言い聞かせて、俺は応援することに決めた。
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