あの当時、病院でイナビルはまだ出回っておらず、私はタミフルを処方された。

予防接種と薬の効果のおかげもあり、発熱以外の症状は殆どなく、土日を挟んだせいもあり登校は一週間後となった。

学校へ行くと、みんなが私を腫れ物扱いだ。
高校受験直前に、インフルエンザに感染した可哀想な子と言う目で見ているのは一目瞭然だった。
何て声をかけたらいいのか分からないと言ったところだろう。

学年末考査も二月上旬に終わっているので、後は卒業までの単位取得の為に日数をこなす為の授業があるだけだ。

県立高校の受験が最後だったので、卒業式の翌日が合格発表日だ。
県立が本命でまだ進路が決まっていない子達は、ピリピリしている。

卒業式まで、あと三日。

卒業式の準備や下級生の個人懇談で下校時間が早まったあの日、私は思い切って放課後の図書室に坂本を呼び出した。

坂本は卒業式当日、生徒会長だった事もあり卒業生代表挨拶をする。
式の練習でも、答辞を読む姿はとても様になっていた。
卒業を前に、彼に告白している女子達もチラホラいると言う噂も耳にした。

もしかしたら他の子達にも誤解を招く行為かも知れなかったけれど、私はあの日の事をどうしても確認したかったのだ。