同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
図書室は卒業前と言う事もあり、図書委員会の図書当番も免除されているのか、カウンターにも室内にも誰一人いなかった。

私は入ってすぐに目につく窓際で外の景色を眺めながら、坂本がやって来るのを待っていた。

私が図書室に来てどの位の時間が経っただろう。
廊下から足音が聞こえると、引き戸のドアが開き、坂本が姿を現した。

いつ見ても、嫌味な位に爽やかを絵に描いたようなイケメンっぷりだ。
中学三年で既に身長も百七十が近い長身だ。
バスケ部の中では小柄な方かも知れないけれど、成長期真っ只中の坂本は、まだまだこれからも身長が伸びるに違いない。

詰襟の学生服も、もう見納めだな。

図書室に入って来た坂本の表情は、いつもの笑顔はなく、緊張しているのが私でも分かる。
きっと、これから私が口にする話の内容も分かっている筈だ。

これが告白ではない事に。

坂本を呼び出したものの、いざ、本人を目の前にして何と言えばいいのだろう。
私は頭の中が真っ白になる。

私は深呼吸をして、自分の気持ちを落ち着かせる。
そして、思い切って坂本に向かって声を発した。

「ねえ、私、知らないうちに坂本に嫌われるような事、何かしたかな?」

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