ただ、ごめんと言うだけで、理由を告げてくれない。

「確かに謝って欲しい気持ちはあったけど、何でそんな事したのか教えてよ。
それとも、それを口にするのも嫌な位、私の事が嫌いなの?」

私の言葉に、坂本は悲しそうな表情で私を見つめている。

しばらくの間、お互いに沈黙したけれど、坂本からは何も返事がない。

「……わかった。
卒業したらもう会う事はないだろうし、卒業式の日まではお互い我慢しよう。

嫌な思いさせてたみたいでごめんね」

私はそれだけ言い捨てると、図書室を後にした。


もう、あんな奴の事なんて知らない。
金輪際、坂本の事は忘れるんだ。

卒業したら、学校だって違うからもう会う事はない。
登校は学校が遠い分私の方が時間は早いし、帰宅時間も多分合わないだろう。

友達の殆どが私の自宅近所の県立高校を受験していたけれど、高校が違えば交流だって無くなる筈だ。

卒業後の成人式だって、何かしら理由を付けて欠席すればいいし、仮に同窓会があっても行かなければいい。

そうやって接点をなくしていけば、みんなの記憶の中から私が消えて行く。

みんなが私を忘れてくれたら、高校受験の事も忘れられる。

今日、この日の嫌な思い出も……。