卒業式の日まで、私と坂本は目線も合わせなかった。

同じクラスとは言え、座席が対角線上に離れているのもある。
私は廊下側の一番前の席で、坂本は窓際の後ろから二番目の席だ。
私の席からは、振り返らないと坂本は視界に入らない。

体調を崩して受験が出来なくなり、登校出来る様になった日から、クラスのみんなも私を腫れ物の様な目で見ていたのは分かっている。
だから出来るだけ目立つ行動はしたくなくて、いつも授業が終わると私は教室からそっと抜け出していた。

誰一人としてそんな私の事を気にする人なんていない。
むしろそうやってみんなが距離を置いてそっとしておいてくれる事に私も甘えていた。

そして迎えた卒業式当日。

体育館で行われた卒業証書授与式は、滞りなく無事に終了した。
坂本の卒業生代表挨拶も、言葉に詰まる事なく、淀みない弁舌をふるっていた。

壇上で答辞を読む坂本の後ろ姿を見ていると、やはりあの日の事を思い出す。

受験出来なかった事が悔しくて、何故そんな事をしたのか理由すら教えて貰えず謝罪だけで納得なんて到底出来なくて。

思い出すだけで何だか胃がムカムカして気持ち悪くなり、私は卒業式の途中で中座した。

よっぽど私の顔色が悪く見えたのだろう。
隣の席に座っていた子に伴われて、坂本のスピーチ中に体育館を後にして保健室へと向かった。