あなたの愛に包まれて
千晃の苦しみ
「お嬢様、お父様がお呼びです」
匡祐との初めてのデートの次の日、千晃は父から呼び出された。
父が直接千晃を呼ぶことはめったにない。いつもは父の秘書から剣持に伝言が来る。
緊張しながら千晃は身支度を整えて父の待つ神崎財閥の所有する保険会社の会長室に向かっていた。
緊張で手先が冷える・・・。

両手をぎゅっと握りしめながら千晃は匡祐の笑顔を思い出していた。

大きく深呼吸をして会長室のドアをノックする。
「入りなさい」
父の声を聞いたのは婚約披露パーティーの夜以来だ。
「失礼いたします。」
剣持と千晃は父の前まで歩み寄る。
「止まりなさい」
父の静止に千晃の足が止まる。
一気に空気が張り詰めた。

「剣持」
「はい」
「お前がついていながらこれはどういうことだ」
言葉と共に千晃の父が一冊の雑誌を二人の足元に投げる。
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表紙・目次

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