COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

『明日もあるんですから、帰りましょう』

室長の押しの一声で、
わかりました、と渋々立ち上がると帰り支度を始めた。

昭香さんは会社からすこし離れた場所に住んでいる事もあり、仕事が終わるとすぐに帰ることも多い。

でも付き合いが悪いと感じたことは一度もない。

それも昭香さんの人柄あってのこと。


けれど、やはり考えてしまう。

”こんな風に気に掛けるのは、特別な感情があるのかも”


『あの…』

そんなことを考えていると隣から、か細い声があがった。

そちらを見ると理央ちゃんが申し訳なさそうに口を開いた。

『私その…今日は友達がこっちへ遊びにきていて…

約束してしまいました…』


いつも元気彼女が、こんなにもしゅんとしているとこちらまで心が痛くなる。

「大丈夫よ、理央ちゃん。

たまにしか会えないんでしょう。行ってきて?」
< 53 / 449 >

この作品をシェア

pagetop