一途な執事と甘いティータイム
もう、嫌です



「菓乃お嬢様ー!お待ちください!!」



こんな執事の大声が家中に響き渡るのは、日常茶飯事。



今までに一度だけ、大きな門の外まで逃げたことはあるけれど、すぐに捕まってしまった。



我が家のガードはとても固い。



……そうなったのも、私の脱走癖があるせいなのだけれど。



私、桜宮(さくらみや) 菓乃(かの)は有名な化粧品ブランドを経営する桜宮グループの娘。



生まれた時からこの豪邸に住み、言葉もわからない頃から"お嬢様"と呼ばれ、大切に育てられている。



起きる時間も、食事の時間も、お風呂に入る時間も、寝る時間も全部決められている。



学校だって決められたところに通っていたし、服装だって自分の好きな物を着られない。



それに……結婚相手だって。



こんな生活は嫌だ。



お金持ちはずるいって?羨ましいって?



そんなに欲しいなら全部あげる。



だから、私は自由が欲しい。



とにかく嫌で嫌でたまらなかった。



はやくここから逃げ出したかった。


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