気づけばいつも探してた
6.男友達とは
6.男友達とは

時計を見ると、もう17時半を過ぎている。

さすがに今日は朝からバタバタで疲れた私は残業はせず帰ることにする。

「お先に失礼します」

チームリーダーとまだ残っている総務部メンバーに声をかけ、フロアを後にした。

スマホを見る。

飲みに行きたいけれど、そんな都合よくお誘いが入るはずもないか。

誰からの連絡もないことを確認し、大きく息を吐く。

更衣室でトレンチコートを羽織り、軽く口紅を塗るとロッカーのカギをしめた。

コートのポケットにスマホを入れた時、微かにバイブの振動が体に伝わる。

待ってました。誰だろう?

更衣室から出るとすぐにスマホを開いた。

LINEだ。

おっ、久しぶりの翔から。

ほんといつもタイミングいいんだから。

【久しぶり。少し遅くなるかもしれないけど、今晩飲みにどう? 翔】

遅くなるのかぁ。

やっぱり最近連絡がなかったのも仕事が忙しかったからだろう。

【お疲れ様!遅くなるって何時くらい?でも飲みにはいきたい~ 美南】

すぐに既読になり返信が届く。

【19時半くらいにはなんとか。T駅の前にあるSビルの10階に最近できたイタリアンがあるんだけどどう?それでよかったらすぐ予約いれとく 翔】

【オッケー。予約よろしく 美南】

はは。

私って、本当に翔には遠慮がないっていうか。

いつも食事の予約も、映画の座席指定もなにもかも翔にやってもらってる。

私が相談する前に先に言い出してくれるからっていうのもあるけど。

ひょっとしたら女友達より楽な関係かもしれないな、なんて時々思う。
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