無邪気な彼女の恋模様
二章 飯付き合えよ
リノベーションチームの仕事も順調、ワークルームの仕事も順調、この二足のわらじ生活にもすっかり慣れた頃。

何の前触れもなく突然木村さんに呼ばれて、私は面談室へ赴いた。

何事かしらとドキドキが止まらない。
ただでさえ面談室へ呼び出しなのだ。
密室にイケメン木村さんと二人きり。
これはまさか、恋の予感…なーんてアホなことを妄想してしまったもんだから、余計緊張が増す。

うん、大丈夫、そんなことありえないことくらいわかってるよ。

「ワークルームの仕事なんだけど、百瀬さんは今月末で終了になりました。」

「終了ですか?」

意味が分からずポカンとする私に、木村さんは丁寧に説明を始める。

「実はずっと三浦リーダーから、百瀬さんを返してほしいとお願いされていたんだ。うちとしても百瀬さんにいてもらいたいから、渋ってたんだよね。」

「そうだったんですか…。」

一応クールに相槌を打ってみたけど、私の心はざわざわしている。
これってこれって、私がどちらのチームにも必要にされてるってことだよね?
めっちゃ嬉しいよぉ。

ニヤニヤしないために顔を引き締めていると、木村さんに微笑まれる。

「もしかして戻るの嫌?」

「えっ?いえいえ、そんな。」

「僕としては百瀬さんに残ってもらいたいんだけど。」

「え…?」

木村さんはじっと私を見つめてくる。
えっと、ちょっと、どうしたら…。
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