アナタと、キスと、銃声と。
転校生と婚約者
あれだけ暑かったのにいつの間にやら肌寒くなっていた。
上着がないと少し厳しい。
学校の制服も衣替えの季節。
通学路を歩く同じ制服きた人たちは、楽しそうにグループを作っておしゃべりしてたり。
…手を、繋いで歩いてたり。
「梨瑚さん、着きますよ」
「うん」
今日、わたしと一緒に学校へ行く車に乗っているのは亮くん。
撃たれた足は本人曰くもう大丈夫らしいけど、松葉杖は手放せない様子。
そんな状態なんだから付いてくるのは大丈夫って言ったのに。
翔平ちゃんは。
今頃どうしてるかな…。
無事に帰ってきては、また仕事に出かけて。
仕事に出かける前は、必ず抱きしめてもらうようになった。
…無事に帰って来れますように。
心の中でそうおまじないをかける。
「…じゃあ、いってくるね」
長谷川がドアを開けてくれて、車からおりる。