愛さずにはいられない
失ったものの大きさ
桐ケ谷家と蓮水家は家が隣同士だった。
幼いころから仁と絃、奈央は仲が良くて一緒にいることが当たり前のように過ごしていた。

幼いころの思い出は三人一緒のものばかり。
しっかり者で優しい仁と、不器用だけど自分以上に仁や奈央を想う絃。奈央は二人にとって手のかかる妹のような存在で、常に奈央のそばにはふたりがいた。

仁はスポーツが得意で絃は手先が器用だった。

絃は幼いころからピアノとギターを弾くことができて、奈央はそんな絃の弾くピアノやギターに合わせて歌を歌うことが大好きだった。

絃は奈央にギターも教えてくれた。

同い年だった絃と奈央は特に一緒の時間が長かった。その時間を二人は音楽でさらに共有していった。

絃と奈央は好みも似ていて、新しい好みの曲が発売されると絃がすぐに譜面に起こして奈央は絃の伴奏に合わせて歌を歌う。それが二人の楽しみだった。
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