早朝のしじまを破ったメグミの叫びに、隣近所の住人たちは驚いて駆けつけた。店から奥へすぐ入れるので、残暑だからと先に表の戸を開けていたのはよかった。

テツシバの客でもある近所のおじさんやおばさんの中のひとりが、この区域にひとりだけいる医者を連れてきてくれた。

パニックを起こしかけていたメグミは隣家の奥さんと一緒に、早い呼吸を繰り返すサユリをベッドに寝かせる。

「母さんっ、母さんっ」

「サユリさんっ。しっかりするんだよ、メグミちゃん」

サユリが近所との付き合いを大事にしてきたのもあるのだろう。集まってくる人たちは、誰もが心配して、何かの役に立てないかと考えてくれる。

やって来た医者はサユリを看てすぐに病状が分かったようだ。薬を出してもらいなんとか飲ませれば、発作のような痙攣は収まり、呼吸も落ち着いてサユリは眠り始めた。

集まってくれた近所の人たちは、サユリの様子が落ち着いたので三々五々、自分の店の開店準備に戻って行った。気の動転が収まらなくて、ろくにお礼も言えなかったのが情けない。

「なにかあれば言ってちょうだいね」

「はい。ありがとうございました」

とくに親しくしていた隣の奥さんも帰った。医者も大丈夫だと判断したのか、ベッド横に持ってきていた椅子から立ち上がる。