ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Hiei's  eye カルテ2:distance

【Hiei's eye カルテ2:distance】




「日詠先生、どこにいらっしゃったんですか?」

『売店。』

「戻りが遅いんじゃ・・それになんだか、あまい香りがしますけど?」

『コレだろ?』

「メロンパンですか。」


屋上で缶コーヒーを飲み干してから、予定よりも少々遅れて産科病棟へ戻った俺に甲高い声をかけてきたのは看護師の山村主任。

ポイントフレームのメガネを人差し指で軽く持ち上げながらギロリと睨まれた俺。
時間にはかなり厳しいようで。
とりあえず、差しさわりが少なそうな返事をしておいた。



でも本当のところは

売店に寄った後に
屋上で伶菜に電話をして
缶コーヒーを飲んでから
戻ってきたんだが。

もっと詳しく言うと

内科の前田って人物と伶菜のやりとりが気になりイライラして
勢い余って彼女自身にそのやりとりを聞いてみようと電話したけれど

いざ、電話の向こう側の彼女の声を聞いたら気持ちがすーっと落ち着いて
結局、何ひとつ彼女に確認できないまま電話を切った



電話の向こう側の彼女に完全に骨抜きにされた俺
ただ自分の名前を口にしただけの彼女は全くそんなつもりはないわけで
なんなんだ、俺のこの腑抜けな有様は・・・?
と途方にくれたけれど

実はこんなふうに伶菜に振り回されるコトはキライじゃなかったりする
今までこんな風に誰かに振り回されるという経験がなかったから・・・


でもこの腑抜けな状態で業務に戻るわけにはいかないから
なんとか頭を切り替えるために缶コーヒーを飲んでから戻ってきた
・・・それが産科病棟への戻りが遅くなった本当の原因


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