死者の時間〜最期のメッセージ〜
スタディー
「この子の死因は乾燥溺死だと思われます」

法医学研究所の監察医、霧島藍(きりしまあい)は研究所にアルバイトで来ている医大生、河野大河(こうのたいが)とともに、元恋人である刑事の如月大輔(きさらぎだいすけ)とその部下の原光矢(はらこうや)刑事に言う。

住宅街で子どもの遺体が見つかり、如月刑事に依頼されて藍は遺体を解剖した。その結果、気道内に水が溜まっているのを発見した。

如月刑事に調べてもらったところ、亡くなる一週間前に亡くなった子どもは屋内のプールに家族と遊びに行ったらしい。それを聞いて、藍は死因は乾燥溺死だと気付いたのだ。

「乾燥溺死とは、水遊びなどで少量の水を飲んでしまうことで起こるの。飲み込んだ水が肺に入っていこうとすると体が痙攣し、気管の入り口が閉じることで窒息状態になって死に至るわ。乾燥溺死は、水遊びなどをした数時間後から数日後に窒息状態になってしまうの」

藍の言葉に、「さすがです!霧島さん!」と大河は拍手を送る。如月刑事と原刑事も「そうだったのか……」と呟いた。
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