【放浪恋愛】アリョーナの旅路~ソッフィオーネを鳴らすまで
第6話
フィリップさんと離婚をしたアタシは、再びひとりぼっちの暮らしに戻りました。

アタシは、生まれ故郷のハバロフスクにある実家に帰ることができないので、引き続きナスティアが暮らしているアパートに転がりこむことになった…

仮に、ハバロフスクにある実家に帰っても、アタシの居場所なんかはどこにもないと思っている…

そのまた上に、タメルランと連絡が取れないままの状態であったので、アタシの気持ちはなおもギスギスしていた…

フィリップさんの家との対立した状態を放置したまま離婚をしたので、アタシの乳房(むね)の奥の傷はより深くなっていた…

どうしようかな…

この先、アタシはひとりぼっちで生きて行くことになるので、不安はいっそう拡大して行くばかりであった…

2012年10月1日、アタシは新しい居場所を作るためにアメリカ合衆国本土へ渡ることを決意した…

そのためにはまず、お金を稼がなくてはなりませんでした。

アタシは、サンジェルコン・デーフレにあるクルス・ドゥ・パリ・マビヨン・エスパス・ピザ(ピザ屋さん)でバイトを始めました。

ピザ屋さんのバイトだけではとても足りないので、他にも複数のナイトクラブやパブなどをかけもちをして、合計2~3万ユーロを稼いでいた…

稼いだお給料のうち、2万7000ユーロは渡米のための資金と渡米後の生活費と滞在用のビザを取得するための費用として貯金をすることにした…

残りの3000ユーロのうち2500ユーロはナスティアのアパートの家賃の一部として使うので、自由に使えるのは500ユーロであった…

残った500ユーロの中から、1個70セントのパンで3食を摂るなどして、食費を切り詰めていた…

アタシは今、もっともつらい時期に来ていた…

一定の金額がたまったら早いうちに渡米しようと思っていたので、一生懸命になって気持ちを奮いたたせていた…

アタシがバイトをしているピザ屋さんには、ランチ時やティータイムになると、いつものようにキンリンの大学の学生たちでにぎわっていた…

店にやって来た学生さんたちは、ピザを食べながら将来の夢や希望をざっくばらんに語り合っていた…

アタシは、そんな話を聞くたびに顔が曇っていた…

昼間のバイトを終えたアタシは、サン・ミシェル広場に行って、ひとりぼっちでベンチに座ってぼんやりと考え事をしていた…

今のアタシには、恋人を作って結婚をしたいと言う気持ちは頭の中にはなかった…

フィリップさんとの二度目の結婚生活が破綻したあとの余波が残っていたので、アタシは『やっぱり、アタシは結婚には向いていなかったのだ…』と思っていた…

アタシのギスギスした気持ちは、フライグブルグにいたときにヒーラーさんとの結婚生活が破綻した時もそうであった…

さらにそうしたギスギスは、ハバロフスクにいた時に生じていた…

アタシは…

どうして、結婚生活が長続きしなかったのかな…

どうしてアタシは…

良縁に恵まれなかったのかな…

アタシは、そう思うだけでもますます悲しくなっていた…

アタシは、一定の金額をためることができたら、すぐに渡米して、そこで幸せ探しをしようと決意していた…

時は流れて…

2012年12月20日に、予定よりも早く一定の金額がたまったので、アタシはすぐに渡米の準備に入りました。

それから5日後のクリスマス休暇の最後の日、アタシはボストンバックと赤茶色のバッグを持って、パリの中央駅から列車を乗り継ぎましてジェノヴァ(イタリー)へ向かいました。

ジェノヴァに着いたアタシは、港から旅客船に乗って、エーゲ海からジブラルタル海峡を通って、経由地のポルトガルへ向かいました。

ポルトガルの首都・リスボンの港で物質補給などを行った後、船は港を出ました。

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

旅客船は、黒い煙をあげて汽笛を鳴らしながら、経由地のリスボンの港を出航した…

アタシが乗っている船は、大西洋を横断してアメリカ合衆国本土へ向かっていた…

アタシは、旅客船のデッキから大西洋を見つめていた…

アタシは、海をみつめながら何を思っていたのだろうか…

年が明けて、2013年1月2日…

アタシが乗っている船は、ボストンの港に到着した…

そしてそこから、アタシの幸せ探しが始まろうとしていた…

ボストンに着いたアタシは、ボストンバックと赤茶色のバッグを持って船から降りた後、一枚のメモ用紙に記載されている地図を頼りに街を歩いていた…

行き先は、ボストンのバックベイ中心部のニューベリー通りにあるインテリア家具のお店であります。

アタシが行くところには、インテリア家具屋さんの2階の下宿で暮らしているハイスクール時代の友人・エレンが暮らしている部屋であります。

港を出発してから50分後に、アタシはエレンが暮らしている下宿があるインテリア家具屋さんに到着をした…

「ごめんください…どなたかいらっしゃいますか?ごめんください…」

アタシの声に反応して、店の奥から店のおかみさんが出てまいりました。

「はーい…あら、あなたがアリョーナちゃんね?」
「はい、アリョーナです。」
「よかったわ…エレンちゃーん、アリョーナちゃんが来たわよ。」

店のおかみさんに呼ばれたエレンは、店の奥にある階段を降りて、店舗にやって来ました。

「やだ~アリョーナじゃない。元気だった?」
「エレン。」

アタシは、久々にハイスクール時代の友人たちと再会できたので、抱き合って喜んでいた…

その後、アタシはエレンが暮らしている部屋で思い出話しをしていた…

アタシは、次の日からアメリカ本土での暮らしを始めました。

アタシは、住むところが見つかるまでの間、エレンが暮らしている下宿で暮らすことにしました。

下宿は、まかないつきで家賃が30ドル…

住人は、主に大学生や専門学校生が暮らしている…

部屋は、4畳半のひと間の部屋であります。

アタシは、店のおかみさんからの紹介でニューベリー通りにあるフライドチキン屋さんでバイトを始めることになりました。

しかし、フライドチキン屋さんのバイトの収入だけではとても足りないので、夜のナイトクラブのバイトとかけもちをしてお金を稼ぐことにしました。

アタシの1日は、朝の9時から昼の3時まではフライドチキン屋さんで、夜の6時から深夜11時まではナイトクラブでバイトをしていました。

日当は、合計は560ドルです。

月に20日前後働いて、月給は合計1万1200ドルです。

まかないつきの下宿であるけど、アタシは下宿でごはんを食べる時間がない…

…ので、3食は店の近所にあるパン屋さんで買った一食20セントのサンドイッチで摂っていた…

1ヶ月の収入のうち、毎月1万ドルずつ貯金をして、残りの1200ドルで生活をして行くことにした…

消費の内訳は、下宿代30ドルと1日の食費がサンドイッチ代3食の合計が60セントをはじめとして、ケータイ代やらいろんな費用などを差し引いて、残る金額は500ドルであります。

残りの500ドルで、生活に必要な雑貨品の購入などにあてるなどして、切り詰めていたので、まだまだ生活は苦しい方であった…

ちなみに、月々に貯金をしている1万ドルについては、女ひとりになっても生活に困らないようにするための最低限の貯蓄を作るために貯金をしていた…

しかし、その一方でアタシは結婚するのか女ひとりで生きて行くのかのどちらを選べばいいのか分からずに困っていました。

アタシがボストンにやって来てから2日目のことであった…

アタシは、チャールズ川沿いにある公園に行った…

大学のゼミが終わったあと、公園のベンチで休憩をしていたエレンと公園内で会いました。

「アリョーナ、こっちこっち。」
「エレン。」
「フライドチキン屋さんのバイトは終わったの?」
「うん、今終わったところよ。」

アタシは、エレンのとなりに座ったあと、ふたりでお話しをしていた…

エレンはアタシに『この先結婚をするのかそれとも女ひとりで生きて行くのかどっちにしたいの?』と聞いていたので、アタシは『分からない。』と答えた…

このあとは、こんな会話になっていた…

「アリョーナ、あんたさ、どうしてハバロフスクの女子大を中退をしたのよ…付き合っていたカレとも別れたと聞いたから…一体どんなことがあったのよ?」
「どんなことがあったって?」
「もしかして…付き合っていたカレの家から…何か言われたの?」
「言われてないわよ…」
「それじゃあ、何があったと言うわけなの?」

アタシは、ひと間隔を空けてからエレンにこう言うた…

「あのね…一番上の兄がね…顧客から預かった預り金を…勝手に使って…損害を与えたあげくに、サウナ(ロシアの風俗店)の女の人のところに入り浸りになって深みにはまってしまった後…女の人と行方をくらませてしまったのよ…そのことが原因で、アタシは泣く泣く大学をやめて、父の知り合いの家の息子さんと…イヤイヤお見合いをしたのよ…イヤだとは言えなかったわ…挙式披露宴の日取りを、両親と次兄の兄嫁さんが一方的に進めてしまったので…アタシはどうすることもできなかったのよ…そして、挙式の日にアタシは、無我夢中になって教会を飛び出して…バッグを持って…シベリア鉄道に乗って…逃げてきたのよ。」
「アリョーナ。」

エレンは、ひと間隔を空けてからアタシにこう言うた…

「アリョーナ、あんたはどうしてイヤだと言わなかったのよ?アリョーナは、お見合い相手の男性と結婚したくはなかったのでしょ…」
「イヤだと言ったら、家から追い出されていたわよ…お見合い相手の家の人が、一番上の兄が勝手に持ち出した預り金を弁済するためのお金を出してくださったのよ…他にも、お見合い相手の父親は…アタシの父に恩義があったのよ…旧ソビエト軍にいたときに、一緒にアフガニスタンの戦場で戦った戦友同士なのよ…お見合い相手のお父さまは…最前線で戦闘中に大ケガを負ってしまったの…その時に、軍医であった父が、お見合い相手のお父さまを助けたいきさつがあったのよ。」
「アフガニスタンの戦場で一緒に戦った戦友同士で、アリョーナのお父さまに命を助けていただいた恩があったのね…それで断ることができなかったのね。」
「アタシは、何のために結婚をしたのか…よく分からないの…よく考えてみたら…アタシは良縁に恵まれていなかったのよ…考えてみただけでも、頭が痛くなってしまうのよ…」
「今のアリョーナには、結婚は考えられないと言うわけなのよね…アリョーナがあの時付き合っていたカレはどうしたのよ?」
「タメルランのことは出さないでよ!!」

アタシは、エレンの口からタメルランのことが出たので、つい声を荒げてしまった…

「タメルランのことは出さないでよ!!アタシは、タメルランのことはもうとっくに忘れてしまったのよ!!」
「アリョーナ。」
「タメルランとアタシが最後に会ったのは、4ヶ月前だったわ…パリで再会をしたけど…会えば肌を重ねて、なぐさめあうだけだったのよ…結局は…愛とか恋とかじゃなかったのよ!!」
「さみしさとむなしさを埋めるために…体だけの関係が続いていたと言うことなのね。」
「そう言うこと…と言うよりも、アタシとタメルランは最初から会ってはいけないふたりだったのよ…」

アタシは、エレンに思いの丈(たけ)を全て打ち明けた…

それからアタシは、女ひとりで生きて行くことを選んだ…

アタシは、タメルランのことを忘れようと決意して、次の日からはバイトに集中して行こうと自分に言い聞かせていた…

アタシが渡米して新しい生活を送っていた時のことであった…

生まれ故郷のハバロフスクの実家は、二番目の兄が嫁さんと一緒にイルクーツクにある嫁さんの実家へ転がり込んだ後、そのまま帰らなくなっていたので、家には跡取りが不在になっていた…

困った父は、ナホトカで暮らしていたイトコ夫婦をハバロフスクに呼び寄せた…

父は、アタシのイトコを貿易商の跡取りにしたので、ハバロフスクの実家にはアタシの居場所なんてどこにもなかった…

1月7日は、ロシア正教のクリスマス(ロシアの国民の祝日)の休日でありました。

ところ変わって、アムール川沿いの緑茶公園内にあるパールスホテルにて…

この日は、アタシの遠い親戚の本家の長男さんが職場恋愛で知り合った女性との挙式披露宴がとり行われていた…

ホテルのエントランスのロビーには、親族のみなさまや職場の同僚のみなさまがたくさん集まっていて、披露宴が始まるまでの間、お茶をのみながらゆっくりと過ごしていた…

アタシの実家の父とイトコ夫婦も披露宴に出席をしていた…

新郎さんがエントランスのロビーにごあいさつに来ていて、出席者のみなさまにひとりずつごあいさつをしていた…

それから20分後に披露宴の準備が出来上がったので、出席者のみなさまはロビーから披露宴場へ移動していた…

披露宴場についたあと、出席者のみなさまは指定された席に次々と座って、披露宴が始まる時を待っていた…

この時に、新婦の控え室で深刻な事件が発生しました。

出席者のみなさまが披露宴場で結婚披露宴が始まるのを待っている頃、新婦の控え室は重苦しい雰囲気に包まれていた…

新婦さんの控え室にて…

白いウェディングドレス姿の花嫁さんが『気持ちが落ち着かない…』と言うて、控え室から出ようとしなかった…

そんな時に、こともあろうにボサボサの髪の毛に白のランニングシャツを着て、えんじ色のデニムパンツ姿の男が新婦の控え室に強引に入ってきたので、状況はますます悪化していた…

新婦の控え室に強引に入ってきた男は、こともあろうにタメルランであった…

タメルランは、控え室にいる花嫁さんと以前お付き合いをしていた…

花嫁さんも過去に男性がらみのトラブルを山のように抱えていたので、なお悪い…

タメルランは、花嫁さんにもう一度やり直してほしいと泣きそうな声で言っていたけど、こじれてしまったのでひどい大ゲンカになってしまった…

「タメルラン!!帰ってよ!!どうしてアタシの元へとつぜんやって来たのよ!?タメルランは、アタシのからだをグチョグチョに犯しまくったあと、アタシをすてて逃げたのでしょ!!『愛してる、好きだ…』とアタシに言うたのはウソだったのよね!!」
「なあ、頼むよぉ…この通りだ…ナタリア…オレのそばにいてくれよぉ…」
「あんたね!!都合のいいことばかりを言わないでよ!!アタシのからだをグチョグチョに犯しておいて何なのよかしら!!アタシはタメルランのことは一生許さないから!!」

タメルランは『冗談じゃない!!ナタリアがそう言ってオレを突き放したのだから…どうなっても知らないからな!!』と怒鳴ったあと、過激な行動に出てしまった…

タメルランは、披露宴場の入り口の受け付けにあったお祝い金入りの祝儀袋を強奪した後、ホテルから逃走した…

それから数分後に、受け付けの人がトイレから戻ってきた時に、祝儀袋がなくなっていたのをみて、顔が真っ青になっていた…

その上に、タメルランの持ち物であるブレスレットが落ちていたので、さわぎが拡大した…

タメルランが祝儀袋を強奪したことと、花嫁さんが胎内にタメルランの赤ちゃんを宿していて、妊娠4ヶ月であることも発覚したので、披露宴場は大パニックにおちいってしまいました。

タメルランはその後、ロシアに居づらくなったので、貨物船に乗り込んで逃亡した…

貨物船は、対馬海峡~南シナ海~マラッカ海峡~喜望峰沖を経て、南米からドミニカ経由でアメリカ合衆国へ向かっていた…

それから20日後のことでありました。

アタシは、ボストンのバックベイの中心部のニューベリー通りにあるインテリア家具屋さんで下宿生活をしながらフライドチキン屋さんとナイトクラブをかけもちでバイトに明け暮れていた…

その日の深夜11時半頃でありました。

アタシがナイトクラブでのバイトを終えて下宿先に帰ろうとしていた時であった…

アタシは、チャールズ川沿いにある緑地公園にてタメルランと再会をした…

「タメルラン。」
「ちょっと…話があるから…オレと来てくれ…」

アタシは、タメルランに公園内の誰もいないところへ無理やり連れて行かれた…

公園内の誰もいないところにて…

タメルランはアタシに札束がぎっしりつまったふうとうを差し出して、受け取ってくれと言うた…

アタシは『こんなきたないカネは受け取れない!!』と言うて拒否したので、ふたりは大ゲンカになってしまった…

「だから!!これは一体何のよ!?アタシに札束がぎっしりつまったふうとうを突然差し出して、何がしたいと言うわけなのよ!?」
「アリョーナ…頼むよ…何も言わずに受け取ってくれ…頼むよぉ…アリョーナ、この通りだ…」
「タメルラン!!アタシの話を聞いてよ!!一体この大金をどこで手に入れたのかを正直に言うて!!」
「そんなことはいいから受け取ってくれ…全部で2万ドル…何も言わずに受け取ってくれるだけでいいのだよ…アリョーナ…頼むよぉ…」
「あんたね!!アタシはね!!この2万ドルをどこで手に入れたのかを聞いているのよ!!アタシの問いにきちんと答えなさいよ!!」
「そんなことはいいから受け取ってくれよぉ…」
「イヤよ!!タメルラン!!あんたはアタシの問いにきちんと答えることができないのかしら!?」
「どうしてそんなに怒るのだよぉ?」
「あんたもしかして、2万ドルを盗んだと言うわけなの!?」
「ちがうよぉ…コツコツと働いて貯金をしたお金だよぉ…」
「うそをつくのもいいかげんにしてよ!!サボタージュのあんたはひとつの仕事に長続きすることができるわけないのに、2万ドルの大金を稼ぐ能力があるわけないわよ!!タメルラン!!」
「何だよぉ…オレのどこがサボタージュ何だよぉ?」
「あんた、ひょっとしたらハバロフスクでもめ事を起こしたのでしょ!!そうなんでしょタメルラン!!」

タメルランは、アタシにきつい言葉を言われたので、ハバロフスクでもめ事を起こしてしまったとアタシに言うた…

「アリョーナ…すまない…ハバロフスクの結婚式場で…もめ事を起こした…」
「その時に…祝儀袋を強奪をしたのね…」
「オレは…ナタリアが好きだったのだよ…ナタリアはオレよりも…他の男を選んだ…だから、悔しくて悔しくて…許せなかった…」
「だから、結婚式場で祝儀袋を強奪したわけなの!?あんたね!!せっかく慶びの日を迎えた新婦新郎さんの挙式披露宴を台無しにしておいて、なんなのかしらあんたは!!タメルランはいつからドロボーみたいなことをするようになったのよ!?」
「ふざけるな!!ナタリアのオヤジが一方的にオレとナタリアの結婚に反対を唱えたのだ!!ナタリアの親族もオレのことをよってたかって、オレをブジョクした!!だから、ナタリアの挙式披露宴をぶち壊したのだよ!!」
「タメルラン!!アタシはあんたのことを見そこねたわよ!!あんたの自分勝手がナタリアさんの幸せをどれだけ傷つけたのかと言うことにゼンゼン気がついていないわよ!!ナタリアさんの胎内にあんたの赤ちゃんがいると言うけれども、もしかしてナタリアさんを新郎さんに取られたことを根に持ってナタリアさんをレイプしたのでしょ!!もう許さないわ!!あんた、2年前の夏に挙式披露宴の前日にタメルランと別れた後に複数の男のグループにアタシがレイプされていた時にどこにいたのかしら!?」
「何を言っているのだよぉ…オレには分からないよ!!」
「アタシはね!!タメルランのことは恋人でも婚約者でも何でもないと思っているから!!」
「何だよぉ…アリョーナ…アリョーナ…」
「甘ったれるのもいいかげんにしなさいよ!!今のアタシはね!!タメルランのことはアタシの乳房(むね)の中にはいないのよ!!タメルランだって、アタシの体をさんざんもてあそんでおいてなんなのかしら!!アタシは、ナタリアさんの2倍…ううん、128倍許さないから!!あんたが結婚式場でもめ事を起こしたあげくに盗んだ2万ドルは受けとりたくないわ!!アタシは、ドロボーになったあんたのことは大きらいよ!!」

(バシッ!!バシッ!!バシッ!!バシッ!!)

アタシは、タメルランの顔を平手打ちで思い切り叩いたあと、タメルランにこう言いました。

「タメルラン!!往復ビンタはナタリアさんとアタシの怒りのビンタよ!!あんたはね!!恋人を作って結婚をする資格は始めからなかったのよ!!あの時、アタシをレイプしたのだから、タメルランのことは一生許さないわ!!」

アタシはこの後、泣きながらタメルランの元から走り去って行った…
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