続・政略結婚は純愛のように
夫としては
「直属の上司になるのは蜂須賀陽二…言わなくてもわかると思うけど秘書の蜂須賀の息子だ。」

 由梨が異動を決めた日の夜遅く、夫婦の寝室での話題は当然そのことだった。
 普段はお互いに意識して、家では仕事のことを話さないようにしている二人だけれど、この日ばかりは仕方がない。
 由梨は彼に聞きたいことがたくさんあった。
 異動は2週間後だが、できるだけ自分なりに準備をしておきたい。
 秘書課に配属になった時も、ある程度予測できていたから、東京にいた時に秘書検定の本を読んだりしたものだ。
 あれから6年、またアシスタントからで申し訳ないと隆之は言ったけれど新しい所へ踏み出すワクワク感の方が大きい。
 なんだか、遠足の前の子供みたいで恥ずかしいけれど。
 すっかり寝支度を整えて、二人してベッドに入ってからも質疑応答は続いていた。
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