花はいつなんどきも美しく
可愛かったわよ?
そこはどこにでもあるような、アットホームな居酒屋である。
その店は私の行きつけで、毎日のように通っている。


出されたビールを一気に飲み干し、テーブルに音を立てて置く。


「あーうまい」


まるでオヤジのように声を出す。


「今日はまた一段と荒れてるわねえ。そんなだと、男に逃げられちゃうわよ?」


揚げたての唐揚げを私の前に置くついでに説教をしてきたのは、ここの店主。


聞いてわかる通り、おネエというやつだ。


「ママうっさい。てか、もう捨てられた」


すると賑やかだった店内が静まり返った。
と思ったら、笑い声に包まれる。


「今回はゴールインすると思ったんだけどなあ!」
「おいおい、あの聡美(さとみ)だぞ?逆に、今までよく捨てられなかったもんだ!」


テーブル席で飲んでいたオッサンたちが騒ぐ。


アットホームはときに残酷だ。
私の傷ついた心がさらに抉られる。


「お前ら、失礼だぞ!」
「そう思うなら、まず言葉遣いを直しなさい。女の子がそんな乱暴な言葉、使わないの」


勢いよく立ち上がったのに、ママに座らされてしまった。


「女の子って歳じゃねーだろ」
真司(しんじ)……」


タイミング悪くやって来て、私の隣に座った幼馴染の真司は、慣れた手つきでネクタイを緩める。


癒せと言わんばかりに近付くと、真司は私の顔に手のひらを当てた。
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