どうも、弟です。
3 ありえない
***

昼休み。

次々と席を立ったクラスメイトたちがお弁当を広げておしゃべりを始める。

購買に向かって教室を出て行く子もいて、授業の終わりを告げるチャイムと共に教室中がざわざわと音をたてた。


「ねえねえ!そろそろ教えてくれたっていいじゃない一花!」

「うるさい」

「どうだったのよ!月形くんの家行って、何も無かったとは言わせないんだから!」


今日も私の家の前で待っていてくれたすみれは、朝からずっとずっとこの調子だ。

教室について自分たちの席についても彼女からの質問攻めは止まらなかった。


「だって一花が言ったんだよ!?『今は話す気になれないから、お昼に話す』って!!」


そりゃそうだ、朝のあの時間のないなかで昨日の内容を話すのはちょっと無理があったし……。


「それになんか、月形くんのことだって避けてるじゃん一花!」

「……そ、そんなこと……ないけど」


図星をつかれて、私はついにすみれから目をそらした。

そう、昨日の事で話しかけて来ようとする秋くんから逃れるのに必死で、すみれに話をするどころでは無かったのだ。


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