転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～

プロローグ

オストヴァルト帝国の皇宮、満月宮では今日も厨房ではあわただしくお茶の準備が進められていた。甘い香りが立ち込める中、場違いな幼い少女の声が響く。

「チーズケーキにイチゴのソースをかけたいの。好みの量をかけられるように、小さな器で別添えにしてもらえるかしら」
「かしこまりました」

　料理人達の間にあって、ヴィオラの頭は一段と低い位置にある。
　彼らが子供であるヴィオラを馬鹿にすることなく従っているのは、満月宮の献立に、ヴィオラのアイディアが大いに反映されているからだ。

「姫様、イチゴのアイスクリームができました！」
「ありがとう、アラム。さっき説明したみたいにグラスに盛りつけてくれる？」

　細長いグラスの底にシリアルを敷き詰め、その上にイチゴのアイスクリームを重ねる。さらに薄くスライスしたイチゴをのせ、アイスクリームとスライスしたイチゴの層を作る。