涙 のち 溺愛


貴史──宇都宮 貴史。
私たちの同期。

私と貴史は、入社二年目の夏から付き合い始めた。
入社してすぐ、面倒見がよく、優しく、リーダーシップのある彼を好きになった私が、散々アプローチして告白して、付き合ってもらえることになったのだ。

そして青山は、元々イケメンだったし、周りにオープンにして頑張ってアプローチしてたし、入社して半年後には蓮美さんと付き合っていた。

青山と仲のよかった貴史は、よく蓮美さんと4人のダブルデートに、私を誘った。

二人で居たかった時もあったけど、楽しそうな貴史を見るとなにも言えなかったし、蓮美さんは私の教育係で、仲も良かった。

青山とはあまり絡まなかった。
私は……潔癖なのかな。
彼女がいる男の人と、あまり仲良くしたくなかったのだ。

でも私も、4人の集まりをそれなりに楽しんでいた。

『もし結婚したら、家族ぐるみで付き合っていきたいね』

ふとした時に出た貴史の言葉を聞いて、青山と蓮美さんと私で、笑いながら頷いたものだ。


───でも。
そんな日々も。
2年後には、最悪の形で終わってしまう。


< 6 / 30 >

この作品をシェア

pagetop