かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
『重なり合う想い』
 スマホを握りしめたまま迎えた朝。目覚ましのアラームを止めて、すぐに画面を確認する。だけど将生からの連絡は入っていなかった。


「それでは荻原さん、あとはお願いします。終業時間前には戻りますから」

「わかりました」

 山浦さんを見送り、秘書室でひとり指示された仕事に取りかかるものの、ふとした瞬間に考えてしまうのは将生のことばかり。

 今は仕事中と自分に言い聞かせても、少し経つと頭をよぎる。

 それは午後になってからも同じだった。昼休みに由良と敬子から、昨夜はうまくいったかメッセージで聞かれたから余計かもしれない。

 ふたりに相談しようか迷ったけれど、メール文ではどう説明したらいいのかわからなくて、ただ仕事で将生は帰ってこなかったから、話せていないことだけ送った。

 時刻は十七時五分前。そろそろ今日の勤務も終わる。今夜は将生、帰ってくるだろうか。

 ソワソワしながら仕事を終えた頃、山浦さんが誠司君とともに戻ってきた。

「ただいま戻りました」

「お疲れ様でした」
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