Rainy day
7.それから…
「パパ〜!!」

時は巡り。

サーキットのピットウォークで。

ライダースーツに身を包み、まだまだ危うい走り方をしながら俺に駆け寄って来る女の子。

俺は走って来た娘の睦海を抱き上げた。

つい先日、2才になったばかり。

「門真さん、写真いいですか?」

ファンの人達から親子でのショットをお願いされ、俺は笑って頷く。

「睦海、笑って」

コッソリ、睦海の耳元で囁くと少し恥ずかしいのか俺の頭に顔を埋めた。

でも、恥ずかしいながらもチラッとカメラに向いて笑っていた。



この子が生まれた日も雨が降っていた。

でも、その日のレースで俺は全日本で初優勝して。


それまでは雨が降ると辛い想いが胸を駆け巡り。

苦しかったけど。

初優勝と睦海の誕生が重なって、それが今までで生きてきた中で幸せな日になった。

雨も悪くはない…
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