ご利益チョコレート
3


自宅に帰り、グズグズと身体を丸めて泣いていると、腰をゲシッと蹴られた。


顔を上げて睨みつける。


「うわっ、しふ、お前めっちゃ汚なっ。鼻水と涙で顔がぐちゃぐちゃやぞ。ってか仏さまの前で何してんねん」


わたしの家はお寺だ。
小さい頃から何故だかわたしは辛いことや悲しいことがあると、一人で本堂で泣く。


「伊吹のアホ、女心がわからんゴリマッチョはあっち行け!」


わたしの言葉などお構い無しに、伊吹が隣にどっかりと腰を下ろした。


「何やねん、何があってん?聞いたるからお兄ちゃんに話してみ」


「何がお兄ちゃんや、双子やん。ゴリラに乙女心がわかるか!」


「ゴリラでも俺はリア充やからな。明日も夜はカノジョとウキウキや」


双子の兄、伊吹は跡取りで今は国立大学の哲学科大学院でナントカ思想の研究している。高校、大学とアメフトをしていたため、ただでさえ190センチもあり威圧感が半端ないのにゴリゴリのマッチョ。坊主頭も相俟って、はっきりいってイカつい。


わたしは150センチなのにこの差は何だ。
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