「母さん、悪いけど
ほしいものがあるんだ。
俺の部屋に置いてあるんだけど
持ってきてくれる?」
と、息子の大和から電話があった。


「いいよ。何?」
と、話して電話を切った。



今日は、夫は出張で不在だし
大和の部屋に荷物を置いたら
ぶらぶらしながら
夕飯食べて帰れば
良いかと思った。


私と大和は、
仲の良い親子だと思う。

小さいときは、
私から離れない子だった。

いわゆる、マザコン?
と、言われる部類かな。

小学校、中学校、高校と
ずっと、野球をやっていた。

私も体の許す限りは、
大和の野球を見に行き
父兄との付き合いを楽しんでいた。

大学に入ってからは、
野球部には入らずに
草野球に参加をしていたようだ。


大学から一人暮らしを
始めた大和。

彼女と鉢合わせとか嫌だから、
大和が助けを求めない限り
大和の部屋には、いかないように
大学に入った時に決めた。

だが、ひと月に一度は、
大和から連絡があり
私は、大和の部屋に行き
片付けや洗濯、食事の準備をした。

部屋の飾りや模様替えも
勝手にやったり・・・・

大和は、
「母さん、綺麗にしてくれて
ありがとう。ご飯も美味しかった。」
と、必ず言ってくれた。

大和と会って、一緒に食べて
と、言うことはしていない。

社会人になるときも
「自分でマンション決めたら」
と、言うが
「母さんも一緒に行こうよ。」
と、言うから一緒に見て
「母さん、ここ、どう思う?」
と、訊いてくる。

結局、私が気に入り
大和も気に入った所に決まった。
私が住むわけじゃないのに。

決して甘やかしているわけではない
マンションの敷金等も引っ越し費用も
大和がバイトして貯めていた。

大学生の時は、家賃や光熱費、
授業料は、夫がだしていたが、
食費だけは、自分でバイトするから
大丈夫だよ。と、大和が言った。


大和に頼まれたものを
大和の部屋に置いて
(合鍵を持たされている)
部屋を片付けて、掃除をして
洗濯は、終わっていたので
洗濯物をたたんで
夕飯を簡単に作ってから
部屋をでたら
18時になる所だった。

大和は、入社したばかりで
忙しくて毎日帰りも遅いと言っていた。

家の近くに帰ってから
夕飯を・・・ と思ったが
おしゃれなお店を駅前で見つけて
そこに入ることにした。

大和のマンションと家までは
電車で駅3つ。
40分位の距離だ。


一人で食事をしながら
窓から外を見ていると・・・・

出張に行っているはずの
・・・・夫が・・ ・いたっ・ ・ ・・・


食事の手を止めて
見ていると・・・・・

夫の元に駆け寄る
女性の姿

あれは・・・・・

夫の腕に女性は、自分の手を絡めて
二人は、楽しそうに
顔を寄せて話ながら
歩いて行った。