With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
3回戦、対西条高校戦。


前の試合、完投した星さんに代わって、いよいよ白鳥くんが公式戦デビュ-となる初先発するのではないかと思われたが、監督は当たり前のように星さんを先発に起用した。


また打線の方も5番の後藤さんと7番の澤田さんを入れ替えただけで、前回1打席でベンチに下げられた大宮くんがまた1番で起用された代わりに、松本くんがスタメンに起用されることはなかった。


「結局、年功序列かよ。」


例によって、佐藤くんは毒づいてたけど、私も正直ちょっと疑問を持った。


試合開始、今日は先攻のウチの高校。大宮くんが打席に立った。


(今日は大丈夫だよね・・・。)


まさかとは・・・とは思うけど、と不安なまなざしで見ていると、さすがに初球、2球と見逃している。ただ、2球ともストライクだったので、大宮くんは追い込まれてしまった。


「大丈夫、これはある意味トップバッタ-の宿命。大宮はわかってるよ。」


私の心配をなだめるように、松本くんが言う。1つ頷いて、私がグラウンドに目をやると、3球目のボ-ルを落ち着いて見逃し、4球目ファール、5球目ボール、6球目ファールと進んでカウント2-2。そして7球目を思い切って引っ張った打球はいい当たりだったけど、セカンドの真正面のゴロ。さしもの俊足大宮くんも、どうにもならない。ワンアウト。


でも戻って来た大宮くんは落ち着いた表情で


「創のデータ通りだと思います。ストレ-トも変化球もまとまっていますけど、平均点。十分対応できると思います。」


と監督に報告する。それを聞いて、1つ頷いた監督は


「ボールをよく見て行け、焦ってボール球に手を出すと相手の思うツボだぞ。」


と改めて指示を出す。


(これが監督が描いているトップバッタ-の姿なんだ・・・。)


「アウトになっても仕方がない。でも1球でも多くピッチャ-に投げさせて、情報を引き出す。これが、結局チ-ムの為になるんだ。」


「自己犠牲の精神だね。でも大宮くんのイメ-ジにはあんまり合わないよね。」


「確かに。」


私と松本くんはそんなことを言って、笑い合う。


この回は続く東尾さん、星さんも打ち取られ、無得点で攻撃を終えた。
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