東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】

異形のモノ

御業の結界に内側へ入ると、4人は同様の感想を持った。

冷気を感じたこと。
何か力が漲ること。
不思議な高揚感があった。




ここまで何も発しなかったが、伊號丸じゃ!剣鬼・伊號丸じゃよ。
昨晩、遥と話もしなかったから何もなかったが、何という妖気じゃ。
さすがは鬼の王ということか。
儂も剣鬼、と鬼が付くが本来の鬼とは全く別物で、相対する事もない。
一度敗北しているとしても、この妖気は尋常ではないわい。
それにしても、この御業の結界じゃが、聞きしに勝る効果じゃ!
力が漲るのがわかる!


王道遥の持つ霊力はさほどではない。
剣術と組み合わせる事で、その効果を高めているのであるが、それ以上に遥の持つ黒檀の木刀に宿っている剣鬼・伊號丸の存在が大きい。木刀の持ち主である遥以外にはその存在は知られておらず、また遥との付き合いも十数年に渡る為、お互い持ちつ持たれつの関係にあった。
木刀が傍にある時に、意思の疎通がなされ頭の中で会話が出来た。
伊號丸の霊力を借りて、遥オリジナルの奥義も完成させていた。



伊號丸は、遥の動揺を感じていた。
たった3週間前に、彼ら2人は摂津に敗北しているのだ。伊號丸自身、摂津の踏み付けにより半分にへし折られていた。
雪辱を返すのであれば、こんな機会はない。
遥に話し掛けてみる。
【おい、遥!大丈夫か?】
【大丈夫だよ】
頭の中で会話する。







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