ユートピア
第1話
 夢を見た。少女が言った。

「猫には不思議な力があるの」

 二度現れ、同じことを私に言った。覚えているのはそれだけ。

 目覚めた私は、不思議とその夢を覚えていた。窓から見えた空。良い感じに暗くなっている。起きよう。今日は久し振りの夜勤。

 私は信号待ち。横断歩道を渡れば、バイト先のコンビニ。見慣れた光景。

 猫が横切った。真っ白な猫が一匹。一瞬だった。交通量の多い交差点。その猫だけが横切り、私の目の前を走って去っていった。

 そのことを私はすぐに忘れ、コンビニに着く。

「おはようございます。」
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