ユートピア
第8話
 また風が吹く。今度は固い風。私の髪が乱れる。

 髪と髪の間に見える、私の顔に近付くユウスケの手。

 その綺麗な手で、私に何をするの?首を絞めるの?私を殺すの?

「綺麗な髪だな。」

 ユウスケは私の髪を整えた。

「ありがとう…。」

 ユウスケの目から離れられない。ずっと透き通る、その目に吸い込まれる。

 私はユウスケにキスをした。あたたかい、ユウスケの唇。その唇からも、しばらく離れられなかった。

 唇が離れた後のユウスケの目。どうしてそんなに切ない目をしてるの?

「お前は…目も綺麗だな…。」

 ユウスケも私にキスをした。そして私を抱き締めた。あたたかい唇、あたたかいユウスケ。

「お前は綺麗な人間だ。ずっと綺麗なままでいてくれ。死んでもいいなんて、もう言うな。」
< 8 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop