2度目の人生で世界を救おうとする話。前編






「ここからは何故アナタが今ここにいるのか簡潔にお話しします。まず世界はいくつも存在し、世界の数だけその世界には運命という名のシナリオがあります。神はそのシナリオを見守り、管理する者なのですが、私が管理していたアナタたちの世界のシナリオが何者かにより大きく書き換えられました。本来ならここで滅ぶシナリオではないんです。なので私は神としてこの不測の事態に対応しなければなりませんでした。ですが何故か神であるはずの私ですら干渉することができなかった。だからこの歪んでしまったシナリオの中心に居たアナタを呼んだのです」


「……はぁ」


また間の抜けた返事をしてしまった。
だがこれは仕方ないことだと思う。神様の話があまりにも壮大過ぎる。


「……アナタには先程言ったようにもう一度生き返ってもらいます。そしてシナリオが大きく歪み始める一年前に時間を戻します。そこでアナタは歪みの原因を調べ、シナリオを一緒に軌道修正してもらいたいんです。なので神としてもう一度生き直すアナタに世界のこと教え過ぎる訳にはいかないんです」


ニッコリと終始笑顔を絶やさず話続けた神様だったがその目は本気だった。神様が醸し出すどこか優しげな雰囲気と目の色が全く違いすぎてその寒暖差である人の言葉を借りれば風を引くほどだった。


「あのー、私が生き返ること前提で話しているけどその話を断ることは……」

「できる訳ないでしょう」

「…だよね」


一応選択権はないのか確認したが有無を言わせぬ神様の笑顔に乾いた声で私は、はは、と笑うことしかできなかった。

何度も言うが私の人生は散々だった。できることならもう2度と同じ人生を歩みたくない。だが、私には選択権など初めからないようだ。


「実を言うと今非常に良くない状態なんです。ここに人であるアナタがいることも、世界のシナリオについて知ってしまったことも、世界のことを知った上で生き返り2度目の人生をこれから歩むことも、あらゆることがルール違反なんです。しかもかなり重大な」


これからのことを考えて絶望していた私に神様が顔を近づけて小声でそう言ってくる。

いや、知らんがな。
私は巻き込まれただけだ。










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