2度目の人生で世界を救おうとする話。前編

4.願い事は何ですか?







side紅



「…」


体が軽い。
朝、目覚めた時まずは自分の体の軽さを実感した。

薬のおかげもあり完全復活だ。


「…すぅ、すぅ」


すぐ側から誰かの規則正しい寝息が聞こえてくる。いや、これは誰かではなく…


「…朱、おはよ」


ベッドの横にわざわざ椅子を持ってきてそれに座り、眠っている朱に小さく微笑む。

眠っている朱は本当に美しい。

カーテンの隙間から差し込む朝日を受けてキラキラと輝いて見えるクリーム色の色素の薄い髪の毛は朝日のせいもあるのか黄金にも見える。
また朱の長いまつ毛も瞳を閉じているお陰もあり、よく際立っていた。

本当にどこをどう見ても私と朱は似ていない。兄弟であることを疑うほどに。

…いや実際には本当に全く血の繋がりのない赤の他人なんだけどね。
何で1度目は自分で気づかなかったんだろ。こんなにも違うのに。


朱がここで寝ているということは朱は昨晩「ずっと側にいる」発言を実行したのだろう。

自分の部屋に帰らず私を見守ってくれていた。

本当にどこまでも優しい弟だ。


そう思うと目の前ですやすやと眠る朱がとても愛おしく思えた。
血の繋がりがなんだ。それでも私は朱を本当の弟だと思うし、何より大切な存在だ。








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