あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎

十一、お礼の演奏




翌日、2人は公園に向かった。
大きな公園には爽やかな風がそよいでいた。

「じゃ、お礼に。
 何の曲がいい?」

「それはもちろん、昨日の、くるみ割り人形の…」

「葦笛の踊り?」

「そう!あの始まり出し、
 フルートがカッコいいもんね」

その後も、しばらく航の練習に
茉莉奈は付き合っていたが、
航は劇場に向かった。

夕方、公演が終わった航から
お礼のメッセージが届いた。

〈おかげで、無事公演が終わりました。
 今度、お礼にご馳走させて下さい〉

そうは言っても、藤堂小百合バレエ団は
全国ツアー真っ只中だし、
次に東京とか、いつなんだろう、
と思いながら、茉莉奈は返信した。

〈楽しみにしてます。
 また東京に来られる時は教えてください〉

すると思いがけない返信が返って来た。

〈来年度から、そちらの音大で、
 月1で講師をする事になったので、
 その際に飲みに行きましょう!〉

それなら、また会えるな、
茉莉奈は次の約束に胸が弾んだ。



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