ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
ヘタレなお殿様の大学時代
特訓の甲斐あり、なんとかセンターを突破。
他の科目がほぼ満点だったので助かった。

俺自身も死ぬほど頑張った。

そして晴れて2人とも、K大生となれたのだ。
学部が違うので、授業で会うことはないが、
それでも俺は嬉しかった。

しかし、俺はすぐ根本的なことに
気付くことになる。
俺たちは付き合っていたわけじゃないって
ことに。

そう。
ヘタレな俺は、タイミングを逃したのだ。
今振り返れば、合格した時にちゃんと付き合い始めれば良かったのだ。
でも、俺は浮かれてた。
大学に入っても今まで通り一緒にいられると、油断してた。
受験勉強中、俺は灯里と付き合っている気になっていたのだろう。
同級生はその認識だったから。
両家の親も、その認識だったはずだ。
2人は付き合っていると。
お互いの家を行き来してたからな。

結局、言葉に出して気持ちを伝えなければ
なんの権利も持たないことに、大学に入ってから気付いたのだ。
報酬のキスは本当に報酬でしかなかったんだ。


灯里に彼氏が出来た。
いつの間にか、隣にいるのは俺じゃなくなってたんだ。

ショックだった。
ただ一言、付き合ってほしい、と言えばよかったのに。
その一言が言えなくて、灯里は他のヤツのものになった。

その事実から目を背けたくて、声をかけてくる女と片っ端から付き合った。
けど、結果は散々だった。
最長で1週間しか持たずに振られてしまう。

理由は明白だったんだけど…
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