激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
花も私も混乱中?
宝生さんと出会ったのは、昨年の十二月。

すさまじい数のクリスマスパーティの装花依頼にクラクラしつつも、大好きな花に囲まれて忙しく過ごしていた頃のことだ。

私はとある会社のIT企業の重役フロアに、花を生けに向かった。


「今年はこれで終わりだな」


私が勤務するル・ブルジョンは、街中の花屋さんというよりは、提携先の結婚式場の装花を担当したり、契約している会社の玄関や重役フロアの花をアレンジしたりという仕事が大半を占める。


店のバックヤードで下準備をするときは、Tシャツにジーンズなどの汚れても問題ない服装にエプロンがいつものスタイルだけど、外に赴くときは清潔な白いシャツと黒いパンツ、そしてこげ茶のサロンエプロンと決まっている。


「はー、寒い」


社屋に入ってしまえば暖房がついているので問題ないが、裏口に横付けしたワゴンから花を下ろす際は別。

仕事柄手袋もできず、かじかんだ手を息で温めながら作業をしていた。
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