愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「仕事早いなー。広報課の仕事もちゃんとやってる?」
「はい、ご心配なく。遅れは出てません。」
私は、自信満々にそう言い切った。
高瀬グループの案件は、紗和ちゃんが嫌々ながらも引き受けてくれて、私はあとの細かい仕事だけを持ってここへ来た。
成宮さんからの仕事に加えて、広報の仕事も掛け持つ毎日。おかげで新規事業部のデスクに入り浸り、ひたすらパソコンに向かっていた。
すると、彼が片肘をつきこちらを見て、嬉しそうに微笑んだ。
「俺、蕪木が入社してすぐロンドン行っちゃったから、仕事してるところ見るの初めてなんだよね。」
「たしかに、そうでしたね。」
私も微笑む姿につられてクスクスと笑っていると、ファイルに目を通しながら彼は言った。
「仕事が早いのはいいけど、あんまり根つめて俺みたいになるなよ?」
その発言には、私も思わず言葉に詰まった。
俺みたいに......。その言葉が、どうしようもなく意味深に聞こえてきた。
私は返す言葉に迷い、何も言わずペコっと頭を下げて、足早に自分のデスクへと戻った。